大人の自閉症-症状チェックリストと仕事の選び方

大人の自閉症に関する情報と社会で上手くやっていくため方法を書いていきます。

大人の自閉症と診断されたきっかけは仕事・・・

大人の自閉症と診断されたきっかけは?

自閉症は、脳の機能障害による発達障害のひとつです。そのため、大人になってから発症することはありません。しかし、自閉症の症状は人それぞれ、症状が軽い人の中には大人になるまで見過ごされている場合もあります。

きっかけは仕事でのミス

大人になるまで見過ごされてた自閉症に気づくきっかけの多くは「仕事」です。社会に出て仕事でのミスや失敗、人間関係が上手くいかないなど、何らかのストレスや問題に直面し、生活をうまく送れないと思ったとき、心療内科を受診し、初めて自閉症と診断されるのです。

大人の自閉症の仕事での困りごと

大人の自閉症の特性から生じやすい、仕事での困りごとには以下のようなことがあります。

・スケジュール管理や優先順位をつけるのが苦手

自閉症は時間を管理するのが苦手です。何時に待ち合わせだから、この時間には出るなどの時間の組み立てが苦手。また、複数の仕事を任された場合に、優先順位をつけるのが苦手で時間がかかることも。

・上司や同僚への報告や相談が苦手

自閉症の場合、自分の行動基準や他人との関わり方に、独自のルールやこだわりをもっていることがあります。仕事では、ほうれんそう(報告・連絡・相談)をはじめ、周囲の人と円滑に協力して働くためにはコミュニケーションが必要になります。独自のルールやこだわりがあるため、何をどう上司や同僚に報告したらわからずに抱え込んでしまうことも多いです。

・仕事の流れを整理・理解することが苦手

与えられた仕事をするうえで、口頭の指示だけでは理解しきれなかったり、メモを取るのも何をメモすればいいのか分からずに戸惑ってしまうこともあります。

・相手の気持ちを察するのが苦手

自閉症は、相手の表情から気持ちを読み取ったり、場の空気を読んで発言することが苦手です。

・環境の変化に対応するのが苦手

自閉症は、急な環境の変化に対応するのが苦手です。急な仕事や残業に対応しようとすると戸惑ってしまったり、感覚過敏によって周囲の音が気になり落ち着いて仕事ができなくなることも。部署移動や転勤などに強いストレスを感じることもあります。

 

自閉症の人が仕事を進めやすくするためには、本人だけでなく周囲も理解し適切なサポートをすることも必要となります。

自閉症と診断されてから新しく仕事を見つけるには?

 自閉症と診断されてから、新しく仕事を見つけるにはどうすればいいか不安になる人もいます。そんなときは、障害者手帳を取得するのもオススメです。障害者手帳を取得することで、障害者雇用として就職することができます。

障害者効用として就職することで、自分の能力と適正に応じた仕事ができたり、通院や治療に配慮してもらたり、一番大きなのは周囲の理解を得たうえで仕事ができるということです。

大人の発達障害障害者手帳を取得する方法は以下のサイトがわかりやすかったので載せておきます。

 大人の発達障害と診断されて、精神障害者保健福祉手帳を取得する一番のメリットは「障害者雇用に応募できる」ことです。障害者雇用促進法により、50人以上の従業員を雇っている一般企業は、2.0%以上の障害者を雇用することが義務付けられています。障害者雇用に該当するのは、障害者手帳を持っている人のみのため、就職活動のときに一般採用だけでなく、障害者雇用での募集にも応募でき、選択肢が広がります。

www.adhd-kids.net

 障害者手帳という言葉だけ聞くと、抵抗を感じるかもしれませんが実際に障害者手帳を持ったからといって、何かが変わるわけでもありません。むしろ手帳を取得することによって、様々な支援サービスを受けることができます。

自分が必要だと思うサービスを受けたい思ったら取得を検討してみてもいいかもしれません。

 

 

健常者との違いについて大人の自閉症を考えてみる

発達障害は、大きく分けると、

この3つです。

 

注意力や衝動性に障害がある「注意欠陥多動性障害」や、読み書きや計算に困難を示す「学習障害」に比べて、「自閉症スペクトラム」は、言葉の遅れや、相手の感情が読み取れない、パターン化した行動をとるなどし特性のあり方が複雑です。

自閉症について健常者との違い考えてみます

この「自閉症スペクトラム」について、「健常者との違い」について考えてみましょう。「自閉症スペクトラム」というは、発達障害の中でも最近できた言葉で聞きなれない方もいると思います。

スペクトラム=連続体」という意味で、わかりやすくいうとグラデーションのようなものです。そのため自閉症の人と自閉症ではない人(健常者)の間に明確な境界線があるわけではありません。

健常者から自閉症傾向の人、軽度な自閉症、重度の自閉症まで、連続的につながっているという考え方ができるのです。特性の強さや現れ方に差があるだけで、だれもがそじの特性をもっている可能性があるということです。

自閉症スペクトラムはどこで判断されるの?

誰もが特性をもっている可能性があるのなら、自分はどうなんだろう、どの位置にいるのだろうと気になりますよね。

その位置を把握するための参考指標として「自閉症スペクトラム指数(AQ)」というものがあります。これはもともと海外で開発されたもので、2004年に日本語版も作らています。

自閉症スペクトラム指数(AQ)

自閉症スペクトラム指数(AQ)は、全50問の簡単な質問に対して、当てはまる度合いを4択(そう・ややそう・ややちがう・ちがう)で答えることで、自閉症スペクトラム指数を割り出すことができます。日本語版作成時の論文によると、健常者の成人の平均値は18.5点で、33点以上が自閉症スペクトラムの可能性が高くなります。

自閉症スペクトラム指数が33点以上だったからといって自閉症スペクトラム障害と診断されるわけではありません。診断は専門医の判断になります。

これは、あくまでも知的障害のない成人向けの臨床的診断ツールのひとつです。しかし、健常者における自閉症傾向の個人差を測定するツールとしての有効性も示唆されています。

チェック項目には誰もが当てはまりそうなものも

自閉症スペクトラム指数のチェック項目には、

  • 同じやりかたを何度もくりかえし用いることが好きだ
  • パーティーなどよりも、図書館に行く方が好きだ
  • ほかの人は気づかないような細かいことに、すぐ気づくことが多い

などがあり、誰もが少しは当てはまりそうなものもあります。

このように、健常者と自閉症の間に明確な境界線があるはけではなく、あくまでも程度の問題として、社会適応が難しいぐらい特性が強い場合、自閉症スペクトラム障害という診断につながるということです。

発達障害は身近なものかもしれません

こうして考えてみると発達障害は案外、身近なものなのかもしれません。誰もが多かれ少なかれもっている特性が、たまたも極端に強いために、環境によっては適応が難しくなる障害です。周りの理解や教官が、ゆるやかな支援となって、その先にはじめて誰もが生きやすい社会の現実が見えるのかもしれません。だからといって、全て障害による特性のせいにしてしまうのは、また別のこと。本人の努力も必要です。

人間関係の悩みで済まされる女性のアスペルガー症候群の特徴

自閉症スペクトラムを含む発達障害は、一般的に女性よりも男性の方が多いと言われています。(男性は女性の4倍という説も・・・)

しかし、実際は女性の発達障害も少なくはなく、見過ごされているだけということも。

女性のアスペルガー症候群が見過ごされる理由

女性の発達障害が見過ごされやすい理由として、一番大きいのは、発達障害による特徴が男性ほど明らかに現れないということ。特に、アスペルガー症候群アスペルガー症候群は、学力や言語の目立った遅れはなく、こだわりの強さやコミュニケーションの困難さを特徴とする自閉症スペクトラムに分類される発達障害のひとつですが、男性の場合は幼少期からその傾向が目立つ一方で、女性の場合は特徴が目立たず、「人間関係の悩み」として現れます。

アスペルガー症候群の特性が「悩み」で済まされる

女性に多い人間関係の悩みといえば、女性同士のグループに馴染めず孤立してしまったり、女子トークについていけないなどが挙げられます。

アスペルガー症候群はの女性は、本人に悪気がなくても失言や暴言などが出てしまったり。また女性特有の非言語コミュニケーションが苦手なため、相手の表情や仕草から暗黙の了解を知ることができないため、それが「人間関係の悩み」として済まされてしまうのです。

※非言語コミュニケーション・・・言葉や文字を直接用いずに行う情報伝達。表情や視線、身振り、しぐさ、動作、声の質、抑揚、相手との距離、姿勢といった手段を用いて行われる知覚や感情、思考の伝達。

女性はコミュニケーション力が高いからこそ見過ごされる

女性は男性と比べて言語能力がコミュニケーション力が高い傾向にあります。そのため、発達障害というよりは個性と捉えられ見過ごされるケースが多いのです。

男性の場合、会話のすれ違いが幼少期から出るため、人間関係そのもの築けない人も多いのですが、女性の場合、ある程度の社会性やコミュニケーション力があるため10代になってから人間関係での困りごとが増えてきます。それは、女子トークが複雑になってくる時期と重なっています。先ほども言いました、女性は10代を過ぎると非言語コミュニケーションを重要視するようになり、会話が複雑になってくるため、テンポよく受け答えすることや、恋愛やファッションなどの他愛ない話についていくことが困難になってくるのです。

女性のアスペルガー症候群の思春期の変化

女性の発達障害では、思春期に体調不良が強く出るといった特徴もあります。特に、アスペルガー症候群の女性は、夜眠れないといった睡眠障害、吐き気、腹痛、便秘などの胃腸の異常、原因不明の発熱、朝布団から出れないほどひどい疲労感などに悩んでいる方も多いです。

詳細は明らかになっていませんが、女性はホルモンの関係で思春期に体が変化するため、神経系の機能不全が起こりやすいとも考えられています。

また思春期の時点で発達障害とわかっていなくても、これらの不調から病院へ行き、不調の原因がわからないため「心身症」などといわれ、治療を続けて何年も経ってから発達障害に気付くこともあります。

さらに、アスペルガーの場合、考え方のこだわりや感覚面のかたよりなどから、食事の習慣が乱れ摂食障害を発書することもあります。このほかにも、境界性パーソナリティー障害や性同一性障害などの二次要害を起こしていることもあります。

大人の自閉症スペクトラム障害の年代別の症状の特徴をチェック!

大人の自閉症スペクトラム障害のとらえ方

大人の自閉症スペクトラム障害は、社会性やコミュニケーション能力の欠如を特徴とする発達障害のひとつです。以前は、自閉症アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害など、同じ自閉症の中でも細かく分類されていました。しかし、それらの診断にはっきりとした境界線を引くことは難しく、2013年に細かい分類をなくし、自閉症の仲間を「自閉症スペクトラム障害」という診断名に統合されました。

自閉症スペクトラム障害が発覚する年齢

自閉症スペクトラム障害を含む発達障害は、発達の遅れや症状が重度であれば1歳までに発覚することもありますが、一般的には1~2歳の間に発覚します。

発達障害に気づくきっかけとなるのは、主に乳幼児健診です。1歳半や3歳に行われる検診では、体や言葉の発達が順調かどうかを確認するため、ここで言葉の遅れなどを指摘され発覚するケースが少なくありません。しかし、気づくタイミングは、子どもの状態や症状の重さによっても差があるため、中には、大人になってから発覚することもあります。

自閉症スペクトラム障害の主な症状

  • 社会性対人関係の障害
  • 言葉の発達やコミュニケーションの問題
  • 興味や行動の方より
  • 感覚のアンバランスさ

年代別の症状の特徴をチェック

自閉症スペクトラム障害の症状の特徴は、成長過程や環境の変化などによっても変わります。年代別に現れやすい特徴をみてチェックしてみましょう。

【乳幼児期】

  • 生後6か月を過ぎても目を合わせない
  • 生後10か月頃になっても呼びかけに反応しない
  • 抱っこを嫌がる
  • 一人で放っていても泣かない(寂しがらない)
  • 泣いたり笑ったりしない
  • 言葉が出ない、話さない
  • かんしゃくを起こす
  • 決まった遊びだけを繰り返す
  • つま先立ちで歩く

【児童期】

  • 集団行動を嫌い、一人でいることを好む
  • 自分のルールを好み、臨機応変に対応できない
  • 「どうして」「どのように」といった説明がうまくできない

【思春期】

  • 抑揚のない不自然な話し方が目立つ
  • 相手の気持ちをうまく読み取れない
  • 雑談が苦手
  • 興味のあることにとことん没頭する

【大人】

  • 社会での暗黙のルールがわからない
  • 仕事の予定や計画に臨機応変に対応できない
  • チームでの連携作業がうまくできない
  • 場の空気が読めない
  • 「適当に」「いい感じに」といった曖昧な指示が苦手
  • 興味のあることにとことん没頭する

自閉症スペクトラム障害を診断してもらうには

自分が自閉症スペクトラム障害などの発達障害かもしれないと疑問を持った場合、いきなり自分で医療機関を探すのが難しいこともあります。まずは無料で相談できる地域の専門機関に行くとよいでしょう。大人の場合、地域の専門機関には「発達障害者支援センター」や「障害者就業・生活支援センター」「相談支援事業所」などがあります。

大人の自閉症の向いている仕事と向いてない仕事

自閉症で働いている大人の数

自閉症は生まれつき持っている発達障害のひとつで、「社会性と対人関係の障害」「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」「行動や興味のかたより」この3つの特徴が発達段階で現れてきます。現在のところ自閉症の大人が日本でどれくらい働いているかという、明確なデータはありませんが、自閉症は約500人に1人いるといわれ、症状が軽い人も含めると約100人に1人いるそうです。

自閉症といってもの、その症状の程度や、知的発達の遅れがあるかどうかは人によって違いがあり、症状が軽い人から重い人までさまざまです。そのため、自閉症の人の中でも、民間企業に就職する人、就労支援施設で終了する人など働き方もさまざまです。

自閉症の症状が重い人は、国や民間の就労支援施設を利用して、周囲の理解のもと無理なく仕事ができるところに就職することも選択肢のひとつです。働く時間なども個人のペースに合わせて仕事ができるので、ストレスなども軽減されます。

仕事をして初めて自閉症と診断されるケース

大人になってから自閉症が発症することはありません。しかし、自閉症の症状は人によって異なり、症状の軽い方の中には大人になるまで気づかれない場合もあります。仕事をして始めて「みんなはできるのに自分には難しく感じる」「どうしても仕事の流れがつかめない」など、うまく仕事ができないと感じたときに始めて自閉症と気づくこともあるのです。

仕事をして、ミスが続いたり人間関係がうまくいかないなどで心療内科に通い、自閉症と診断されることもあります。子どものころから人間関係に悩んでいる方も多く。大人になって自閉症と診断され「やっぱり」と納得する人も多いだとか。

大人の自閉症の向いている仕事は?

障害の有無に関係なく、向いてなかったり苦手な仕事では失敗も多く本人もつらい思いをします。自分の特性を知り、得意な事や好きなことを活かせる仕事だとうまくいく可能性も高くなります。自閉症の人には仕事において得意不得意がはっきりと分かれている場合もあります。自身の得意な作業や、苦手な作業を理解し、自分に合った職や対処法を探すことで、仕事での困りごとを解消することもできるでしょう。

あくまでも傾向にすぎませんが、自閉症に向いている仕事と向いてない仕事には以下のようなものがあります。

自閉症に向いている仕事

プログラマー

システムエンジニア

マーケティングリサーチ

・在庫管理

経理

・点検作業

・工場での流れ作業

・機械部品の組み立て

・学者

・芸術家

パターン化された作業に強かったり、一つの作業に集中できたり、数字に強かったり、専門性の高い知識が必要など、自分の特性や能力を活かせる仕事を見つけていきましょう。

自閉症に向いていない仕事

人とのコミュニケーション力の高さが必要とされる職業や、急な予定変更などが頻繁にあるといったことや、苦手なことや、自分の特性に合っていない職業は、ミスも増えストレスも大きくなってしまうので避けましょう。

大人の自閉症が仕事を探すためには

自閉症が仕事を探す方法はいろいろあありまさう。国や民間の就労支援事業所に相談したり、担当医師に相談したり、自分でも探すことができます。また、診断を受けたり障がい者手帳を持っている人は、公的な支援を受けながら仕事を探すことができます。

就労を支援してくれる機関やサービスとしては、「ハローワーク」「就労移行支援」「ジョブコーチ制度」など、自閉症をもつ本人や、障害者を雇用した企業が受けれる制度などもあります。

まずは一人で抱え込まずに専門機関に相談を

自閉症の人が就業する場合、多少の困難はあります。そんなときは、一人で抱え込まずに周囲の人のサポートを受けることが問題解決の近道です。まずは、「発達障害者支援センター」「障害者就労・生活支援センター」「精神保健福祉センター」「相談支援事業所」などの専門機関があるのでそこで相談しましょう。

大人の自閉症スペクトラム障害の特徴

自閉症スペクトラムの特徴を理解する「3つ組の障害」

1979年にイギリスの児童精神科医であるローナ・ウィングは、アスペルガー症候群を含む自閉症を持つ人の特徴として「ウィングの3つの組」を提唱しています。自閉症スペクトラム障害を理解するために、この「3つ組の障害」の視点から考えるとわかりやすいです。

①社会性の質の違い

周囲の人と関わるときに適切にふるまうことができず、相手と関係を築くこと、築いた関係を維持していくことが困難。

②コミュニケーションの質の違い

相手が言っていることや感じていることを理解したり気づくのが困難。また、自分が言いたいことや感じていることを相手にわかりやすく伝えたり、表現するのが困難。

③想像力の質の違い

自分が見たり想定していた以外の出来事や成り行きを想像したり納得することが困難。自分の興味あることや心地よい行動パターンに強いこだわりがあり、想定外の行動を取ることに強い抵抗を示す。

大人の自閉症スペクトラムの特徴

①グループでの業務や活動が苦手

自閉症スペクトラを持つ人は、子どものころ幼稚園や学校などの集団生活になじめなかったという人も多いです。授業や行事でみんだで同じ活動をしたり、クラスの友達と適切な距離感を取りながら付き合うのが苦手なのです。大人になっても、職場やご近所さん、親戚付き合いなどさまざまな場面で集団活動する必要があります。そして、子どもの頃よりも、与えられた役割を果たすことを求められるため、やらなければならない状況になってしまうことも多くなります。

仕事の場面でいえば、自閉症スペクトラムの人は一人で黙々と作業をするのは得意な傾向にあります。しかし、チームで業務を行くのが苦手で、チーム内で孤立してしまったり、周囲と足並みを揃えずに自分が良いと思ったことを独断で行い、チームを混乱させてしまうこともあります。よく「空気が読めない」「自己中」と言われますが、本人にはチームがどんな目標にどのように動くのかを理解したり、それを踏まえて自分はどう動けばいいのかを理解するのが困難なのです。結果、周囲からは非協力的な態度として受け取られてしまします。

②やり取りがうまく噛み合わない

自閉症スペクトラムを持つ人には、子どものころに言葉の発達に遅れがあると指摘を受けていた人も多いです。その後、成長とともに日常生活に必要な読み書きや会話は十分できるようになった人でも、独自の言葉の使い方をすることがあります。少し表現が不自然な程度であれば問題はないのですが、言われたことを独自に解釈して理解にズレが生じたり、わかりにく表現をして相手にうまく伝わらないことも少なくありません。

仕事の場面でいえば、指示を誤って理解したり、報告や相談するときに話が分かりずらく支障が出ることがあります。また、仕事では、状況が変化していく中で、その場で言われたことを理解して適切に返答するといった動的なコミュニケーションが求められます。そのスピードについていけず、理解が追いつかなかったり、言いたいことを素早くまとめて伝えられないことも。学校生活の中では、急な変化が少なく自分のペースで落ち着いてやり取りできる静的なコミュニケーションが多いため、問題が目立たない人も多いのですが、社会に出て仕事をするようになってから問題が大きくなることがありあす。

言葉に使い方以外にも、会話をする中で、相手がどんな気持ちなのかを表情や様子から読み取って、読み取った相手の気持ちを踏まえて伝え方を変えていくということが苦手です。たとえば、怒っている相手に火に油を注ぐようなことを気にせずに言ってしまうなど。他にも、会話をする中で、笑顔で応えたり、共感の気持ちを態度で示すことができずに、なんとなくギクシャクした雰囲気になってしまうこともあります。

③自己流で物事を進めたがる

自閉症スペクトラムを持つ人は、特定の物事を順番通りに行うことに強くこだわることがあります。たとえば、いつもの道順ではなく別の道から行こうとすると拒否したりと。自分の知らない別の方法ではどのような結果になるか想像が出来ずに、不安や恐怖、抵抗を強く感じてしまいます。子どもであれば、パニックするほど混乱することもありますが、成長するにつれて減っていいます。しかし、大人になってもやっぱり自分が納得した方法で物事を進められない時には困惑してしまうことがあります。

仕事の場面でいえば、マニュアルや指示の通りに作業するように言われていても、自分が気になってしまうと作業を先に進めることができなかったりします。このため、作業の効率が落ちたり、作業が完了できなくなることもあり、職場での評価が下がってしまいます。

自閉症スペクトラムと診断されるのは?

自閉症スペクトラムを診断できるのは医師だけ。診断を受けたいと思ったときは、精神科や心療内科に通院する必要があります。しかし、自閉症スペクトラムなどの発達障害を見ることができる医療機関はそんなに多くはないので、住んでいるところの自治体の障碍者福祉課や、発達障害者支援センターなどで、詳しい医療機関の譲歩を集めることもできます。

大人の自閉症と自閉症スペクトラム障害の違いは?

自閉症について

自閉症は、通常生後30ヶ月までに発症する先天的な脳の機能障害です。視線が合わなかったり、1人遊びが多く、関わろうとするとパニックなったり、特定のモノに強いこだわりが見られたり、コミュニケーションを目的とした言葉が出ないなどの特徴が見られます。

自閉症スペクトラム障害とは?

話すチカラやことばの理解、形を認識するチカラや状況を理解するチカラなどの知的な能力が、年齢に対して全般的に低いレベルにあり、社会生活をしていく上で、理解と支援が必要な状態を「知的障がい」と言います。自閉症の中でも、知的障がいを伴う場合と、伴わない場合とがあり、知的障害を伴わない自閉症を「高機能自閉症」と呼びます。高機能自閉症とよく似た特徴を示し、発達初期に言葉の遅れがなく、比較的言語が流暢な場合には「アスペルガー症候群」とも診断されることがあります。

高機能自閉症アスペルガー症候群は、知的障がいないため、周りからの理解や支援が得られにくという場合が多いです。それらの障がいを持つ人が、社会の中で生活していくためには、より正確な知識の普及や支援が望まれます。

さらに、自閉症ほど典型的でないが、自閉症としての特徴がいくつかあること指して「非定型自閉症」、または特定ができない「広汎性発達障がい」などがあり、知的障がいや自閉症の度合いによって呼び方が異なりますが、自閉症アスペルガー症候群、非定型自閉症、広汎性発達障がいを統合して「自閉症スペクトラム」と呼ばれます。

大人の自閉症の特徴

大人になってから自閉症と判断される人のほとんどは、知的障がいの程度は低いです。しかし、学校や職場など社会のさまざまな場面で人とのコミュニケーションや関わりに難しさが生じることが多いです。また、興味や関心が狭く、独自のこだわりが行動や振る舞いに見られることもあります。それ以外には、五感などの感覚が人よりもとても敏感に感じたり、逆に鈍感すぎることもあります。これらの特徴は、人によってどの特性が強く出るか、またどの程度の強さなのかもさまざまです。全く同じタイプの人はいないといってもいいくらいです。基本的に、生まれてから死ぬまで、これらの特徴を持っていますが、大人になってから初めて社会生活での困難さが明らかになることもあるのです。