大人の自閉症-症状チェックリストと仕事の選び方

大人の自閉症に関する情報と社会で上手くやっていくため方法を書いていきます。

大人の自閉症スペクトラム障害の特徴

自閉症スペクトラムの特徴を理解する「3つ組の障害」

1979年にイギリスの児童精神科医であるローナ・ウィングは、アスペルガー症候群を含む自閉症を持つ人の特徴として「ウィングの3つの組」を提唱しています。自閉症スペクトラム障害を理解するために、この「3つ組の障害」の視点から考えるとわかりやすいです。

①社会性の質の違い

周囲の人と関わるときに適切にふるまうことができず、相手と関係を築くこと、築いた関係を維持していくことが困難。

②コミュニケーションの質の違い

相手が言っていることや感じていることを理解したり気づくのが困難。また、自分が言いたいことや感じていることを相手にわかりやすく伝えたり、表現するのが困難。

③想像力の質の違い

自分が見たり想定していた以外の出来事や成り行きを想像したり納得することが困難。自分の興味あることや心地よい行動パターンに強いこだわりがあり、想定外の行動を取ることに強い抵抗を示す。

大人の自閉症スペクトラムの特徴

①グループでの業務や活動が苦手

自閉症スペクトラを持つ人は、子どものころ幼稚園や学校などの集団生活になじめなかったという人も多いです。授業や行事でみんだで同じ活動をしたり、クラスの友達と適切な距離感を取りながら付き合うのが苦手なのです。大人になっても、職場やご近所さん、親戚付き合いなどさまざまな場面で集団活動する必要があります。そして、子どもの頃よりも、与えられた役割を果たすことを求められるため、やらなければならない状況になってしまうことも多くなります。

仕事の場面でいえば、自閉症スペクトラムの人は一人で黙々と作業をするのは得意な傾向にあります。しかし、チームで業務を行くのが苦手で、チーム内で孤立してしまったり、周囲と足並みを揃えずに自分が良いと思ったことを独断で行い、チームを混乱させてしまうこともあります。よく「空気が読めない」「自己中」と言われますが、本人にはチームがどんな目標にどのように動くのかを理解したり、それを踏まえて自分はどう動けばいいのかを理解するのが困難なのです。結果、周囲からは非協力的な態度として受け取られてしまします。

②やり取りがうまく噛み合わない

自閉症スペクトラムを持つ人には、子どものころに言葉の発達に遅れがあると指摘を受けていた人も多いです。その後、成長とともに日常生活に必要な読み書きや会話は十分できるようになった人でも、独自の言葉の使い方をすることがあります。少し表現が不自然な程度であれば問題はないのですが、言われたことを独自に解釈して理解にズレが生じたり、わかりにく表現をして相手にうまく伝わらないことも少なくありません。

仕事の場面でいえば、指示を誤って理解したり、報告や相談するときに話が分かりずらく支障が出ることがあります。また、仕事では、状況が変化していく中で、その場で言われたことを理解して適切に返答するといった動的なコミュニケーションが求められます。そのスピードについていけず、理解が追いつかなかったり、言いたいことを素早くまとめて伝えられないことも。学校生活の中では、急な変化が少なく自分のペースで落ち着いてやり取りできる静的なコミュニケーションが多いため、問題が目立たない人も多いのですが、社会に出て仕事をするようになってから問題が大きくなることがありあす。

言葉に使い方以外にも、会話をする中で、相手がどんな気持ちなのかを表情や様子から読み取って、読み取った相手の気持ちを踏まえて伝え方を変えていくということが苦手です。たとえば、怒っている相手に火に油を注ぐようなことを気にせずに言ってしまうなど。他にも、会話をする中で、笑顔で応えたり、共感の気持ちを態度で示すことができずに、なんとなくギクシャクした雰囲気になってしまうこともあります。

③自己流で物事を進めたがる

自閉症スペクトラムを持つ人は、特定の物事を順番通りに行うことに強くこだわることがあります。たとえば、いつもの道順ではなく別の道から行こうとすると拒否したりと。自分の知らない別の方法ではどのような結果になるか想像が出来ずに、不安や恐怖、抵抗を強く感じてしまいます。子どもであれば、パニックするほど混乱することもありますが、成長するにつれて減っていいます。しかし、大人になってもやっぱり自分が納得した方法で物事を進められない時には困惑してしまうことがあります。

仕事の場面でいえば、マニュアルや指示の通りに作業するように言われていても、自分が気になってしまうと作業を先に進めることができなかったりします。このため、作業の効率が落ちたり、作業が完了できなくなることもあり、職場での評価が下がってしまいます。

自閉症スペクトラムと診断されるのは?

自閉症スペクトラムを診断できるのは医師だけ。診断を受けたいと思ったときは、精神科や心療内科に通院する必要があります。しかし、自閉症スペクトラムなどの発達障害を見ることができる医療機関はそんなに多くはないので、住んでいるところの自治体の障碍者福祉課や、発達障害者支援センターなどで、詳しい医療機関の譲歩を集めることもできます。