健常者との違いについて大人の自閉症を考えてみる
発達障害は、大きく分けると、
この3つです。
注意力や衝動性に障害がある「注意欠陥多動性障害」や、読み書きや計算に困難を示す「学習障害」に比べて、「自閉症スペクトラム」は、言葉の遅れや、相手の感情が読み取れない、パターン化した行動をとるなどし特性のあり方が複雑です。
自閉症について健常者との違い考えてみます
この「自閉症スペクトラム」について、「健常者との違い」について考えてみましょう。「自閉症スペクトラム」というは、発達障害の中でも最近できた言葉で聞きなれない方もいると思います。
「スペクトラム=連続体」という意味で、わかりやすくいうとグラデーションのようなものです。そのため自閉症の人と自閉症ではない人(健常者)の間に明確な境界線があるわけではありません。
健常者から自閉症傾向の人、軽度な自閉症、重度の自閉症まで、連続的につながっているという考え方ができるのです。特性の強さや現れ方に差があるだけで、だれもがそじの特性をもっている可能性があるということです。
自閉症スペクトラムはどこで判断されるの?
誰もが特性をもっている可能性があるのなら、自分はどうなんだろう、どの位置にいるのだろうと気になりますよね。
その位置を把握するための参考指標として「自閉症スペクトラム指数(AQ)」というものがあります。これはもともと海外で開発されたもので、2004年に日本語版も作らています。
自閉症スペクトラム指数(AQ)
自閉症スペクトラム指数(AQ)は、全50問の簡単な質問に対して、当てはまる度合いを4択(そう・ややそう・ややちがう・ちがう)で答えることで、自閉症スペクトラム指数を割り出すことができます。日本語版作成時の論文によると、健常者の成人の平均値は18.5点で、33点以上が自閉症スペクトラムの可能性が高くなります。
※自閉症スペクトラム指数が33点以上だったからといって自閉症スペクトラム障害と診断されるわけではありません。診断は専門医の判断になります。
これは、あくまでも知的障害のない成人向けの臨床的診断ツールのひとつです。しかし、健常者における自閉症傾向の個人差を測定するツールとしての有効性も示唆されています。
チェック項目には誰もが当てはまりそうなものも
自閉症スペクトラム指数のチェック項目には、
- 同じやりかたを何度もくりかえし用いることが好きだ
- パーティーなどよりも、図書館に行く方が好きだ
- ほかの人は気づかないような細かいことに、すぐ気づくことが多い
などがあり、誰もが少しは当てはまりそうなものもあります。
このように、健常者と自閉症の間に明確な境界線があるはけではなく、あくまでも程度の問題として、社会適応が難しいぐらい特性が強い場合、自閉症スペクトラム障害という診断につながるということです。
発達障害は身近なものかもしれません
こうして考えてみると発達障害は案外、身近なものなのかもしれません。誰もが多かれ少なかれもっている特性が、たまたも極端に強いために、環境によっては適応が難しくなる障害です。周りの理解や教官が、ゆるやかな支援となって、その先にはじめて誰もが生きやすい社会の現実が見えるのかもしれません。だからといって、全て障害による特性のせいにしてしまうのは、また別のこと。本人の努力も必要です。